原子状水素とは?
通常の水素ガスは水素原子が2個結合して水素分子となっていますが、
これを高温のタングステン表面にさらすと、水素分子はタングステン表面で
分解して原子状水素となり、雰囲気中に最放出されます。
ダイヤモンドを低い圧力の下で気相合成するためには
この原子状水素を反応室に供給することが重要であるとされています。
ダイヤモンド成長面での、この原子状水素の果たす役割を詳しく
調べることによって、薄膜成長制御の手がかりが得られるはずです。
左の図は本研究室甲田一氏により設計された原子状水素発生器の 設計図面です。大気側に飛び出しているパラディウム管をヒーターで加熱すると 大気中の水素ガスだけがパラディウムを通過できるために、純粋な水素ガス(分子状) が真空チャンバー内に導入されます。その後、高温に通電加熱されたタングステン 表面で水素分子は原子状水素に分離します。水素の供給率はヒーター温度で 制御される事になります。
通常、水素ガスを扱う実験は大変危険を伴いますが、この方法ですと、非常に
安全に、なおかつ無尽蔵の高純度水素ガスを取り扱う事ができます。