白熱電球の中の表面科学とは?


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白熱電球は、1879年に発明王エジソン によって発明されました。 この時、京都府八幡市石清水八幡宮竹の繊維 がフィラメントとして 採用されたことは有名ですね。電球の口金(ねじの切ってある金属の部分)のサイズは "E26" のように 標記します。数字はミリ単位で口金の直径を表したもので、Eというのはこれがエジソン口金(Edison Base) である事を示しています。エジソンの発明したタイプの口金がいまだに使用されているという事です。

その後、電球をより明るく、より長寿命にしようとする努力が続けられました。 明るくするためには温度をより高くする必要があります。そのため、 フィラメント材料として融点の高い (約3400度摂氏)タングステンが 採用されたのは自然の流れと言えるでしょう。( タングステン電球)

ところで、この最強の高融点材料タングステンにも欠点がありました。 空気中の酸素や水と反応して酸化タングステン となると融点が1200度摂氏 くらいまで下がってしまい、すぐに蒸発するため、フィラメントがやせ細って ゆき、部分的に細くなるとその部分の抵抗が大きくなってさらに発熱して 高温となり、さらに蒸発が激しくなるといった調子で寿命が著しく短縮 されて しまうのです。このためガラス管球内部の真空度を高める 努力がなされました。

当初の頃、技術者達は次のように考えていました。『ガラス管球内から完全に水や酸素を 取り除いてしまうことは不可能である。しかしながらある程度少なくなってしまえば、 例えば、水分子10個まで減らすことができたとすると、その10個の水分子は 10個のタングステン原子と結び付いて、フィラメント表面から蒸発させるが、 それによって管球内の水分子は0個となり、それ以上タングステンフィラメントが 消耗することはないであろう。』

ところが実際には、充分に低いと思われる真空度まで排気してもフィラメントの 寿命はあまり変わらなかったのです。 当時、ジェネラルエレクトリック社の研究者であったラングミュア は管球内のガスの成分を詳細に 調べること(残留ガス分析)により、この謎を解明しました。水分子が永続的 にリサイクル使用されることにより、 たとえ微量であっても水分子が存在する限りタングステンフィラメントは 消耗していたのでした。(ラングミュア=サイクル)

原因がわかれば対策としては、このラングミュア=サイクルを断ち切る工夫を すれば良いわけですね。ラングミュアは、このため、圧力は低い程良いという 従来の常識を破り、管球内に不活性ガス(希ガス)を封入しました。 この希ガス入り電球の発明(1913年)により、 白熱電球の寿命は著しく向上し、ジェネラルエレクトリック社とラングミュアに 巨額の富をもたらしたそうです。

最近、もっと明るく、すなわちもっと高温にするための工夫として、微量の ハロゲンガスを入れたハロゲン電球が開発されました。 これは、フィラメントから蒸発して、ガラス管壁にくっついたタングステン原子を ハロゲンガス分子がフィラメントへ回収するという、言ってみればラングミュア=サイクル の全く逆のメカニズムを利用したものです。この場合、ハロゲン分子は 永続的にリサイクル 使用されるため微量で良いのです。この工夫により、フィラメントを高温にして、 蒸発が激しくなっても、電球壁面の汚染による輝度の低下を防ぎ(自己浄化作用)、 かつまたフィラメント寿命を伸ばすことが可能になったのです。



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